日本の面影

Glimpses of Japan
失われる日本人の精神性に、将来を憂う  リンクフリー

もしも日本がアメリカより先に原爆を開発していたら、どうしていたか

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(2012.8.7)
あの戦争について、日本が幕末から続いた『百年戦争』を戦ってきた帰結であるという考え方があって、これは『大東亜戦争肯定論』(1964・林房雄)という著作が元になってます。
【欧米・白人 対 アジアの日本一極】、宿命的ともいえる百年戦争という概念、これには私も大いに賛同できるのですが、この本では、よくある保守風・右派風サイトにあるように日本がアジアや有色人種解放のため戦ったのだとして、あの戦争を肯定的にとらえてる側面があります。短絡的な右派が、他のアジア諸国などに日本が感謝されてるからと日本マンセーになってしまう論拠になってるわけで、そこは私と大いに異なります

あの戦争は明治維新の頃から始まっていた百年戦争の帰結。
しかし100年前から日本が世界の一角を占めるほど強大化することまで白人たちが予測していたかというとそれは違うと思うし、日本人が力を持てたのは日本人自身の手によるものであり、日本があそこまで大きくなって扱いにくくなってしまったのは、白人たちにとってもやっぱり誤算だったのでしょう。

日本人の中には、戦前から日本人は既に白人たちと同等で彼らの仲間入りしてると勘違いしてた人が多そうですが、やはりそれは間違ってると思うし、決して白人たちは今だって日本人を仲間とは見なしていないと思います。

物議を醸しそうだけど、いつかはやってみたかった調査(投票)があります。
もしも日本が先に原爆を開発していたなら、米国へ原爆投下することに日本人がどう判断していたか。

左翼や反米的な右派層はアメリカの原爆投下を非難するわけでしょうが、当時は日本でも原爆開発をやっていて、日本の原爆研究費は当時の金額で約2000万円。
アメリカのマンハッタン計画(原爆開発)では約12万人の科学者・技術者が動員され、加えて約22億ドル(約103億4千万円、当時の1ドル=4.7円)が投入されてました。要するに3桁違ってたってこと。

あの戦争については開戦したこと自体が負けに等しかったのでしょう。
よく言われるように、追い込まれた日本は本当にやむなく開戦するしかなかったのか。
勝つか負けるかでなく、たとえ勝てなくとも負けないための策が何かなかったか・・・石油が禁輸されたからとかよく言われるけど、そうされない策を日本が取れなかったのはやはり(外交上の)失敗が存在していたからとも言えるわけで、2・26事件で殺された高橋是清が生きていれば、戦争は、米国との開戦は避けられたと思うし。
だからといって戦争となったからには何としても勝たなきゃいけなかったわけで、そんな中で、もしも日本が戦争中に原爆を先に開発していたというなら、もちろん私は躊躇なく、アメリカが降伏するまで原爆を落としまくることに賛同したように思います。
そうなるとアメリカ人が多数死んでしまってたわけだけど、それは日本を守るためやむなしと考えるだろうし、それは私が世界市民でなく、やっぱり日本人だからであって、逆に私がアメリカ人に生まれていたなら日本が降伏するまで原爆を落としまくれと、もちろん当時の状況ならなっていたよう感じます。

現実には2発の原爆をアメリカに落とされて日本は降伏したわけですが、アメリカに徹底的にやり返せるものならやり返したい・・・だけどそれをやっても死んだ者が戻るわけでもなく、きっと空しいだろう・・・そういう当時の日本人の決して一筋縄ではいかない複雑な心情、『サイボーグ009』のこの作品などに非常によく表れてます。

「米国の空襲や原爆投下は国際法違反だ!」、「ソ連は条約を破った!」とか安っぽいヒューマニズム掲げるのでなく、大体、生きるか死ぬかの戦争やってる中で道理を求めるというのもナンセンス。
国際法だの条約だのそんなものを信用して、中途半端な日本的な道徳意識から抜け切れられず、価値観の異なる外国人、世界相手にそんな甘っちょろいこと言ってるから、欧米・アングロサクソンに敗北したともいえるわけで(詳しくはマキアベリズムをご参照)。
生きるか死ぬか・・・死ぬというのは命だけあれば、国だけあればいいというのでなく、伝統や文化を殺されるのも民族として死に等しいわけ。

日本は空襲や原爆投下こそされたけど本土侵攻まではされなかった。ドイツなんかは首都ベルリンの中枢部まで戦車が侵攻し、それこそ街は壊滅、貴重な文化遺産だって全滅、略奪され、女子供は蹂躙されていった。当時のドイツの惨状はロッセリーニのネオ・リアリスモ三部作を締めくくる、実際に戦後廃墟と化していたベルリンをロケに撮られた映画『ドイツ零年』(1948)なんか見れば痛々しくてならないし(ドキュメンタリータッチだがフィクション)、あんなのに比べれば日本はまだマシだったのかもしれないとさえ思えるくらい。

あと、日本人が有色人種だから原爆を落とされたという説もあるけど、ドイツ降伏時はアメリカでもまだ原爆が完成していなかったわけで、もちろんドイツだって細々と原爆開発はやっていたし、もしもアメリカがもっと早く原爆を開発していたら、当然ドイツに落としていたと私は思う。もともと米英は、ドイツに先んじられるのを恐れて原爆開発を急いでもいたわけで。

『彼女はサイエンス』  トーマス・ドルビー  (1982)
She Blinded Me With Science – Thomas Dolby

坂本龍一とのコラボでも知られる鬼才 トーマス・ドルビー(詳しくは右画像クリック)。MTV黎明期の大ヒット曲。

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この記事に対するコメント

  • 【前サイトURLのこの記事へのコメント】

    「なぜ北の核に沈黙するのか」78ページ「諸君!」2003年1月号より
    評論家の加瀬英明さんはかつて「トルーマン政権による原爆投下の決定に参画した」ジョン・マックロイさんにこう尋ねたそうです。
    加瀬氏
    「日本がもし原子爆弾を一発でも持っていて、アメリカのどこかに落とすことができたら、日本に核攻撃を加えたか」。
    マックロイ氏
    「もし、日本があの時に原爆を持っていたとしたら、使用することはありえなかった」
    coffee | 2012/08/07 1:39 AM

    仮に日本が原爆を完成させていたとしても日本の航空産業では米国まで原爆を運搬する航空機を開発する能力はなかったのではないでしょうか?伊400号潜水艦に細菌兵器を搭載して米国に投下する作戦もあったようですが人道に反するとして作戦は破棄されています。それが意味するのは、日本こそが戦争をしていても国際法を遵守していたと言えるものと思います。日本にも原爆があったなら、という設定は仮にそうであったとしても日本は核は使用しなかったという結論を導き出すことも可能になるものと考えます。
    きたのくま | 2012/08/07 2:27 AM

     サルトルは「まあ日本人なんて有色人種だし、猿に近いからね。アメリカはドイツに落とすのは、良心が痛むが、日本なら良心は痛まないよ。」と言っていた。
     ユーチューブでアメリカ議員が「日本に原爆を2つじゃ足りなかったようだな」と失言をし、問題になった。
    http://www.youtube.com/watch?v=DSslHeAj-Zk
    イッケ | 2012/08/07 2:31 PM

    高校の頃、五島勉著「日本・原爆開発の真実」を読みましたが、あの本だけは胡散臭いと思います。
    http://inri.client.jp/hexagon/floorA6F_hc/a6fhc112.html
    儂 | 2012/08/07 6:57 PM

    きたのくまさんへ

    >仮に日本が原爆を完成させていたとしても日本の航空産業では米国まで原爆を運搬する航空機を開発する能力はなかったのではないでしょうか?

    日本周辺に群がっていた米軍に使用できました。
    また、日本が原爆の開発に成功さえしていれば、米国は第2次世界大戦中に報復されなくても、戦後何年か後に米国本土に報復される恐れもあるので米国は日本に原爆を投下できなかったと思います。
    兎に角、昔も今も、日本は急いで核武装することが重要なのです。
    coffee | 2012/08/07 10:20 PM

    お返事ありがとうございます。
    わたしは日本が核武装することには賛成の立場を取っています。
    日本周辺に群がっていた米軍に使用可能であったという見解ですが、ならば日本の当時の技術で原爆を小型化できたのでしょうか?
    あるいは、小型化できなくても艦船に搭載して特攻攻撃でも行うことが可能だったのでしょうか?
    それよりも、非核保有国であった日本に核が使用されたという「事実」を語る必用があるのではありませんか?
    三度目の核攻撃を受けないために「核武装」するということであり、核攻撃を受けた国家として核武装することの正当性を訴求するべきなのではないかと思う次第です。
    戦争当時に日本に原爆があったなら、と言う主張よりも、「非核保有国」にも「核使用」はあり得るということをわたしは主張するべきだと思います。
    同時に、日本がアジアの民主主義国を共産主義国から防衛するために集団的自衛権行使、及び米国に代わる核の傘を提供するべきだと思います。
    集団的自衛権を行使できない国はどこの国とも同盟を締結することはできません。
    きたのくま | 2012/08/08 10:44 AM

    インターネット規制ACTAが秘密裏に進められてるようです。
    ACTA反対――クラーケンを止めるんだ
    http://www.youtube.com/watch?v=NbfS6PaG6Hc
    http://anti-acta.alternwcs.org/
    ★緊急★5輪の影で】ACTAに反対の奥様2【参院突破★
    http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/ms/1343990446/
    ちゃがま | 2012/08/08 1:55 PM

    これまた難しい問題ですね。
    私ごときが結論を出していい問題ではないでしょう。ただ歴史から推測しますと仮に当時日本が原爆を製造し米国へ投下できる状態に置かれていたとしたら投下していたように感じます。もちろん反対派の政治家もいると思いますがそういう人達は軍部におされて結局押し切られてしまうのではないでしょうか。最悪の場合は226事件のように原爆投下をめぐって内部抗争が起きる可能性さえあります。「日本のいちばん長い日」という映画では玉音放送のテープをめぐって降伏派と徹底抗戦派に分かれて発生した争いを描いていましたがまさにあんな感じになっていたでしょう。
    ムック | 2012/08/09 12:52 PM

    大東亜戦争についての肯定論、否定論については、ちらでもないと思います。
    と言うのも、これだけ全世界が絡んだ戦争になれば、複雑に利害関係が絡み合っていると思うからです。
    ただ一つ言えるのは、日本が一方的に誤った行為を犯したのだから反省しなければならないと言った、左翼の論調は間違いだと言う事です。
    詰まる所、戦争と言うのは外交的最終手段であり、出来れば切りたくないカードであるのは明白だと思います。
    従いまして、外交的駆け引きがどれだけ出来るかで、状況は大きく変わってくるのではないかと思います。
    神風 | 2012/08/10 9:59 PM

    あの戦争、負けた原因は他ならぬ日本人自身の驕りだと思います。
    …と言うのも、日露戦争と比べて有り得ない作戦の失敗ばかりしているので。
    兵隊は体力精神技能全て(朝鮮系を除き)において最強だったのだから、日露戦争時のように無能は辞めさせられていれば少なくとも負けはしなかったと思います。
    獅子に率いられた羊の軍団と羊に率いられた獅子の軍団のお話ですね。兵隊最強より将軍最強が良いわけです。
    核兵器の話ですが
    得なら落とす、損なら落とさない…それだけだと思います。
    そして、日本は出来うる限り早く核兵器を持つべきです。
    アメリカは日本が攻撃された場合、核兵器をどう用いて反撃に出るかという戦略シナリオ自体作っていない。
    否、正確には核兵器を使えない、故にアメリカの核の傘下は幻です。
    通り過ぎるオタク | 2013/01/23 6:54 PM

    ここに書いていいものかと思った話題ですが、書く場所に悩みましたので、歴史カテゴリで書きます。
    最近流行りの「もし○○だったら」コンセプトの歴史ものの話題です。
    ↓フジテレビ討ち死に 制作費数億円の天海主演「女信長」視聴率1ケタ
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130409-00000003-tospoweb-ent
    結構な宣伝をし、豪華キャストを使い、莫大な予算をかけて作ったドラマが
    「もし信長が女だったら」
    なんていうしょーもないドラマでした。
    自分の最も嫌いなタイプの作品です。
    どんなに気に入った俳優が出ていても、この手のものは見ません。
    日本の戦国武将や中国の「三国志」「水滸伝」などの古典は、「男のロマン」があるからこそ今も愛されているのだと思います。
    この視聴率から反省して、二度とこんなものを作らないでいただきたいものですが・・・・・・。歴史捏造の国の影響なんでしょうかね?
    はとや | 2013/04/10 11:45 AM

    日本が核兵器を開発していたら。
    恐らく使用したでしょう。そもそも日本が戦争に踏み切った理由が、「ABCD包囲網」による経済封鎖であり、アジアで唯一の主要国として、アジアを開放するという理念が遭ったからです。つまり、明らかに敵は植民地の宗主国たる「白人国家」であり、英仏蘭は既にアジアから追い出しており、残るは米だけ。という状況ですから、当然使用するでしょう。
    米自体が、日本を占領して一番最初に「核開発」に関する資料を全て押収し、設備を廃却したわけですから、日本の核武装を一番恐れていたわけです。
    最後に一言、もしあの戦争を始めなかったら日本は、今現在のチベット、ウイグル、内蒙古と同じ状態になっていたでしょう。戦争に踏み切って、なおかつ善戦したからこそ、今があるのではないでしょうか。
    兼業農家 | 2013/08/08 2:42 PM

    昭和天皇の御言葉
    「いやだったのは、あの戦争」
    ロシアコミンテルンに騙されて、
    中・韓・北朝(満州)と一体化し、
    西側先進国を敵に回すような、
    そんな愚かな負け争を行なわないように
    このブログがあるのだと思います。
    印象操作や文化侵略など
    さりげない悪質な亡国プロパガンダを
    賢く見抜いて影響されないために。
    木星金星 | 2015/08/06 10:44 PM

    ツイッターの方は同じ様な話題だらけだけど、ブログの方が豊富ですね。ブログもツイッターも応援しております。
    日の丸旗坊 | 2018/08/03 10:31 PM

  • 世界の常識は戦わざる者食うべからず、そうしないと国民は食わせられず

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