日本の面影

Glimpses of Japan
失われる日本人の精神性に、将来を憂う  リンクフリー

本当の浦島太郎は……

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(2020.1.7)
浦島太郎のイメージの話、一番最初は日本書紀にあり、釣りあげた亀が女に変わり、女を妻にするとして海の彼方の蓬莱山(とこよのくに)という所へ行った話があります。その後、帰ってきたようでもあるのですが、日本書紀ではどうなったのか詳細がわからない。男の名は浦 嶋子(うら しまこ)といい、「子」と付いていても女ではなく、小野妹子のように当時の高貴な血筋の男性と思われ、海神(ワタツミ)の姫にも見合った家柄の男とされるのでしょう。

出会いからおなじみのあの結末に近い、初めてまとまった話というのは同じ奈良時代、日本書紀直後の万葉集の長唄に収録されています。ただし万葉集では、おじいさんになって終わるのではなく、楽しく三年過ごした間に地上では三百年という月日を経てしまってた通り、肉体は崩れ折れ最後は息絶えてしまいます。これが今の昔話、浦島伝説の大元の原型といえます。

他にも日本各地に浦島伝説は残っているようですから、その地方、各伝承によって内容は異なります。
死んでしまうのはかわいそうだからとか、子供に聞かせるには救われない話でちょっとキツすぎるとか、おそらくそういうことから、風土記はじめ各地で知られる浦島太郎の話を検証し、近代で知られる、死ぬのではなく白髪の老人に変わってしまう話が広められるというところで収まったのでしょう。

尚、竜宮や乙姫、そして太郎という名が付いたものは室町時代の御伽草子の浦島太郎に出てきますが、それでは何とおじいさんになった後(七百年経ったこととされている)、鶴に変化して蓬莱山へ飛んでいき、そこで亀の姿の乙姫と再会してめでたく結婚するという、いっそう奇想天外な話となっております。七百年経っても死なないことから……鶴は千年、それより遥かに長生きし続けている……亀は万年。辻褄も非常に合っており、だから縁起物の「鶴は千年、亀は万年」という言葉の根拠にもつながってるわけです。

いずれにしろ一番最初のまとまった浦島太郎の話は、万葉集にある長唄が元。その時代から詠まれはじめ、一時衰退しても江戸時代の国学文化復古による隆盛で万葉集の長唄も大いに詠まれ、伝統芸能として継承されることに。明治期の小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の知る浦島太郎も、数百年を経て絶命してしまう万葉集の内容。この頃は今のような子供向け昔話は普及しておらず、当時の最もポピュラーな浦島太郎がこうだったのです。

下は小泉八雲 著『東の国から・心』(恒文社)より(詳しくは右画像クリック)
【その歌ものがたりというのは、誰でも一度それを聞けば、おそらく生涯忘れることができない物語である。毎年、わたしくしは夏になると海べへ行くが、海べへ行くと、わけても海が青畳をしいたように凪いだおだやかな日には、きまってその物語が、わたくしの心に憑いてはなれない。くにぐに・地方によって、そのものがたりは形がいろいろに違っているが、いずれもむかしから、この国のおびただしい芸術品の霊感となってこんにちに及んでいる点においては、かわりがない。なかんづくもっとも印象ふかい、かつ最も年代の古い説話は、紀元五世紀から九世紀までのあいだに纂集された、「万葉集」という歌集の中にのっている。「万葉集」にあるその古歌から、碩学アストンは、そのものがたりを散文に翻訳しているし、おなじく大学者のチェンバレンは、それを散文・韻文の両様に翻訳している。しかし、英語の読者諸君にいちばん愛誦される形とおもわれるのは、おなじくチェンバレンが児童のために書いた、「日本おとぎばなし集」のなかにある翻訳だろう。あの翻訳が、なぜ英語の読者によろこばれるかといえば、あの本のなかには、日本の画家たちがそれぞれ腕をふるって描いた、美しい色刷りのさし絵がはいっているからである。わたくしはいま、その小さな本を前において、もういちどその伝説をわたくしの言葉に直して、諸君にお話ししてみることにしよう。
(略)
疑心は、ついに信頼を裏切った。かれは無分別にも、自分の愛人に誓った約束を破ったのである。――つまり、絹の打ち紐をほどいて、かの手筐をひらいたのである!
すると、たちまち、手筐の中からは、一団の夏の雲に似た白い冷たいけむりが、パッと空へ立ちのぼった。と見るまに、そのけむりは、静かな海の上をかすめて、南の方へとたなびき流れた。手筐の中には、なにもほかにはいっていなかったのである。
浦島はそのとき、はっとして、ああ、自分は自分の幸福を、とうとう自分の手でうちこわしてしまったと気づいた。二どともう自分は、自分の愛人であるあの竜王のむすめのもとへは帰ることができない。かれはそのことをさとると、絶望のあまり、声をあげて、その場にはげしく泣き入ったのである。
ところが、それほほんのつかのまであった。つぎの瞬間、かれはあっと思うまに、自分の身が見る見るうちに変ってしまったのをみたのである。氷のような寒けが、からだじゅうの血の中を走りぬけたと思うと、またたくうちに歯という歯ががっくりと抜け落ち、顔には千すじの皺がより、髪は雪のように白くなった。手足はしなびおとろえ、全身の力が、まるで汐がひいて行くように、からだからさーっと抜けてしまったのである。かれは生きたけしきもなく、砂の上に、へたへたとくず折れた。四百年の冬の重みにおしひしがれたのである。】

最後に数百年の時を経た浦島太郎が朽ち果てゆくイメージ映像 ^^)

映画『リーグ・オブ・レジェンド 時空を超えた闘い』より
出演:ショーン・コネリー 他  監督:スティーブン・ノリントン

ジキルとハイドや透明人間、ヴァンパイア、海底二万哩のネモ船長など、欧州怪奇伝説の各主人公が登場(詳しくは右画像クリック)。

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